第11回【経営者コラム】リデュース・リユース・リサイクル。サスティナビリティで⾃社にも顧客にも利点。安定した顧客リピートも⾒込める、古き良き⽇本にも通じる⽅策とは。
いま、再び、渋沢栄⼀の『論語と算盤』が注⽬されています。
栄⼀の⼦孫である健⼀⽒によると、
現在、私たちは当時と同じような”⼤きな歴史の転換点”にいることから、
注⽬が集まっていると考えているそうで、
私たち⽇本に住むものにとっては「原点回帰とも⾔える」と、語っています。
『論語と算盤』では、儲けることと同時にサスティナブルであることの重要性を説いています。
今回コラムは、『儲け』と『サスティナビリティ』を両⽴させ
⾃社にも顧客にも満⾜の⾏く⽅策を模索している企業や商店の
「3R=リデュース・リユース・リサイクル」にスポットを当て、ご紹介していきます。
目次
サスティナビリティの本質を知り
⾃社落とし込みの⼊り⼝を考える。
世界のビジネスシーンで注⽬される「サスティナビリティ」という⾔葉。
「サスティナビリティ(Sustainability)」は、「持続可能」を意味しています。
それは、環境、社会、⼈々の健康、経済などのシーンで
“将来まで⻑きに渡り続けていくことができることシステムやプロセス”を指し、
⽬先の利益やパフォーマンスだけを追求するのではなく、
物事の⻑期的な影響を考えて⾏動するという考え⽅です。
【サスティナビリティ具体例】
□経済開発
・将来にわたり健康で、パフォーマンスを失わずに利益を出し続ける(経営)
・地球環境や社会課題に配慮した取り組み(マーケティング)
・環境や社会に配慮した企業に投資する(投資)
□社会開発
・⼦供たちの将来の⼒になる教育(教育)
・旅⾏先の⽂化や環境を尊重し損なわない観光業(ツーリズム)
・作り⼿の労働条件や健康まで配慮したアパレル(ファッション)
□環境保護
・海の⽣態系を損なわない⽅法で調達された海産物(シーフード)
・再⽣可能で将来のポテンシャルがあるエネルギー(エネルギー)
・環境への負荷を考慮した⽣活(ライフ)
出典:IDEAS FOR GOOD 社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン,2023.02.10,
https://ideasforgood.jp/glossary/sustainability/
⾃社展開の⽷⼝は、ロングスパンの思考と「社会や環境など⻑期的な影響を考慮」という点です。
リデュース・リユース・リサイクルとは?
3R(スリーアール)と呼ばれる、そのキーワードを知る。
3R(スリーアール)とは、資源を⼤切にするための3つのキーワード。
「リデュース」「リユース」「リサイクル」の頭⽂字をとって3R(スリーアール)と呼ばれます。
ゴミの量をできるだけ少なくすること指しますが、製品を作るときに使う
資源の量を少なくしたり、耐久性を⾼めたりする事業活動も含まれます。
□リユース(Reuse)とは / モノを捨てずに繰り返し使うこと
家庭内で洋服・古紙などを捨てずに再利⽤することや、
ビジネスとしては「古書店」「中古家電ショップ」なども含まれます。
□リサイクル(Recycle)とは / 資源として再利⽤すること
⼀度ゴミとなったものを資源として再利⽤し、形を変え別の製品にすることを指し、
古紙から再⽣したトイレットペーパーなどが含まれます。
中古家電や家具を売る店を「リサイクルショップ」と呼ぶこともありますが、
これは3Rの考え⽅では「リユース」に分類されます。
出典:リユース、リサイクル、リデュース。「3R」の優先順位と、わたしたちにできること,
MIRAI Times 社会の未来を育てるウェブメディア, 2023.01.06,
https://www.cuc.ac.jp/om_miraitimes/column/u0h4tu00000031zm.html
今や当たり前となった「マイバッグを持ち歩きレジ袋や⼿提げ袋をもらわないという動き」は、
『リデュース』にあたります。
また、「燃える。燃えないゴミ、資源ゴミなどの分別」など
地域ルールを守ってゴミ出しすることは『リサイクル』にあたります。
⽇本の“もったいない精神”は、3Rの考えに近いものであるでしょう。
「リユース&リサイクル」の実例。
⾃社他社問わず製品の下取りサービス。
その場で使える割引券でリピート客を獲得。
実例)
洋服の⻘⼭
スーツでお馴染みの洋服の⻘⼭。
他社製品もOK!!もう着ないスーツの下取り持参で10%OFF。
・メンズスーツ2着を下取りすると、その場で使える10%OFFのクーポン券が2枚もらえる。
・ワイシャツ、フォーマルはもちろん、ネクタイ・ベルト・靴などの⼩物からレディース⾐類まで
幅広く下取り!学⽣服・他社製品でもOK。洋服の⻘⼭のお得なクーポンと交換。
◎顧客と取り組む下取りプログラムで地域⽀援。
下取りした⾐類を原料に防災⽑布へとリサイクルし、公益財団法⼈⽇本環境協会による
「エコマークアワード2020」において「優秀賞」を獲得。
出典:洋服の⻘⼭,オンラインストア【公式通販】, 2023.02.13,
https://www.y-aoyama.jp/service/recycle.html
⾃社商品だけではなく他社の品も下取りすることで、⾃店へと来店誘導する事例。
割引例をしっかりホームページに掲載しており、説明もわかりやすく、
年齢を問わず好感が持てる誘導例です。
「リサイクル」の実例。
循環型のリサイクルで容器返却を促しリピート客を獲得する。
実例)
LUSH (化粧品製造業)
イギリス発祥の化粧品ブランドLUSH(ラッシュ)。
限りある資源を使った容器を⼀つでも多く顧客に返却してもらい
可能な限り使⽤し続けることを⽬的にした取り組み、環型容器返却プログラム「BRING IT BACK」を⾏う。
・返却された容器はリサイクルされ、LUSHの新たな容器として⽣まれ変わる。
・返却時には下記の特典がある。
*5つの対象容器返却時、⾃社製品のフェイスマスクに交換可能
*対象容器1つにつき、30円をLUSHの買い物に使⽤可能
出典:LUSH, 循環型容器返却プログラム「BRING IT BACK」,updated on 2022/12,
https://weare.lush.com/jp/lush-life/our-impact/bring-it-back
店舗によっては、⽉の容器返却の個数をSNSで知らせるなどし、
「返却=再⽣=お得に買い物」の周知をおこない、
SNSの恒例トピックとして使える情報と⾔えるでしょう。
また、LUSHの顧客は、リサイクルという社会貢献の満⾜と同時に、
値引きも叶うという、お得感も味わえる仕組みと⾔えます。
昔なつかしい「量り売り」。
「量り売り」は店の⼀⾓を利⽤しすぐに始められるスタイル。
実例)
nue by Totoya (東京・オーガニック⾷材)
プラスチック廃棄物やフードロスが社会的課題となる中、量り売り店を⽇本に普及させることを⽬指すモデル店舗。
・⾷材を⼊れる容器や袋を家から持ち込み、必要な分だけ量り売りで買える。
・客が⾃らの⼿で必要な量を⼊れられるようにしている。
持ってきた容器に何グラム⼊れたかを店員に⾃⼰申告し、料⾦を計算。
・フランスで買い物に使われている薄いオーガニックコットン製の⼱着袋を販売。
洗えば何度でも使え、ほつれても縫えばまた使える。
・容器を持たずに来ても、ビンを100円で貸してくれ、返すと100円が戻ってくる。
出典:編集局=⼩松遥⾹,サスティナブル・ブランドジャパンSBJ, 容器を持ち込み、量り売りでの買い物を当たり前に 代々⽊にモデルショップ, 2019.12.19,
https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1195204_1501.html?fbclid=IwAR2AJnG0WqVuZkKpCODUuAZn2-l-b6wJtXYptu26iRAw6i6XqNKVgVUY2SI
,画像https://www.nuebytotoya.com
ネットリサーチ会社マクロミルの調査
(https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1191042_1501.html)によると、
65%の⼈が「プラスチック製のパッケージや使い捨て容器は不要・過剰」と回答。
必要な分だけ買うことで「⾷品ロス」を防ぐことができる上、
⾃分らしい容器で持ち帰り、そのまま使⽤可能な点も魅⼒。
まとめ
⽇本では昔から、⽶や味噌などは量り売りで買っていましたし、
鍋を持って⾖腐屋へ買い物に出かけた記憶のある⽅もいることでしょう。
リサイクルにおいては、お兄さんやお姉さんなどのお下がりを使うこともその1つかもしれません。
⽇本⼈にはいま現在も「もったいない精神」が息づいています。
その「精神」と「お得感」を掛け合わせることで、店舗への誘導や商品への関⼼をもってもらい、
『儲け』と『サスティナビリティ』を両⽴させることができるのではないでしょうか。