第18回 経営者コラム|お客様とのエンゲージメントを高める「イベントDX」で集客アップとデータ収集!
新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類感染症」になり、⼈々の顔からマスクが外されることが増え、イベントなど⼈が集まる機会が多くなってきました。
しかし、コロナ前にくらべると集客数はまだ以前には及ばないとも⾔われています。
そんな中、注⽬されているのが「リアルイベントとオンラインの融合」や、ウェビナーと呼ばれる「ウェブセミナー(オンラインセミナー)」などです。
リアルイベントでは、アルバイトなど社外の⼈材雇⽤や管理などに⼤きな⽐重がかかりますが、イベントをDX化することで、業務の効率を上げることができるのです。
今回は、お客様のデータを得られエンゲージメントもアップする「イベントのDX化」について、考えて⾏きます。
目次
イベントDX(=デジタル化)とはどういうことか?
「イベントDX」とは、セミナーや展⽰会など様々なイベントを開催する際、デジタルを活⽤し、業務のオンライン化や効率化を実現することを指します。
オンラインイベントはもちろん、オンラインと組み合わせたリアルイベントが開催されるなど、新しい形のイベント施策も登場していますが、イベントに漕ぎ着けるまでには、告知にはじまり、会場準備、設営、参加者管理、コンテンツの配信など、多くの業務があり、時間も労⼒も要します。
それらの多くをデジタルを活⽤しながら効率化すること、それが「イベントDX」なのです。
イベントのDX化で実現できることとは?
前述したように、イベント開催を迎えるまでには告知、会場準備、設営、参加者管理、コンテンツの配信など
複数の担当者による多岐にわたる準備が必要です。
「リアルイベントとオンラインの融合」を考えているなら、さらに、その業務は複雑化してしまいます。
リアルイベントとオンラインを融合することに⼤きな有効性を感じている企業も多いですが、開催までにはハードルもあり、そこをクリアするためにはイベントにはDX化が必須であるとも⾔えます。
上記のデジタルの有効性は以下の3つと語るのは、オンラインイベントシーンでプラットフォーム提供を⾏う、株式会社スプラシア代表取締役の中島⽒です。
(1)参加者満⾜度の向上 ← イベントの体験価値をデジタルで⾼める
(2)イベント成果の継続的な進化 ← データに基づいた意思決定で最適化する
(3)イベント開催の効率化・⾃動化 ← イベント準備⼯程をデジタルで軽減する
いまだにFAXで講演者、出展者とやり取りしていたり、Webサイトでイベント情報を掲載するにしても、都度、⼿⼊⼒で更新していたりと、そのほかのメディアに⽐べ、イベント業務は効率化の余地が多く残されているとも語っています。
出典:宣伝会議, アドタイ、先に進むか、コロナ禍前に逆⾏かイベントDX で効果最⼤化、省⼒化の⽅策, 【広告企画】 2023.07.04 掲載,
https://www.advertimes.com/20230704/article424025/?utm_source=advertimes&utm_medium=article&utm_campaign=article428153
リアルイベントの管理は雑多な業務が多く、社外の⼒を借りざるを得ない状況が多く発⽣します。
社外の⼒を多く借りれば借りるほど、管理が難しくなりトラブルの元ともなります。
デジタルの⼒を借りることで、多くの業務が効率化できることを念頭に、次へ読み進めてみましょう。
イベントDXの利点とは?
では、イベント開催をデジタル化した場合、どのような利点があるのでしょうか。
具体的に挙げて⾏きます。
1)グローバルリーチ
オンライン化によって、地域や国を問わず参加者を迎え⼊れることができる
2)コスト削減
物理的な会場や設備、移動や宿泊などの関連コストを削減
3)データ収集と分析
参加者の⾏動や興味などをリアルタイムで分析
効果的なマーケティングや改善策の策定が可能
4)柔軟なコンテンツ配信
参加者の都合に合わせ、イベントの録画や再配信が可能となる
更なるエンゲージメントを促すことも可
5)インタラクティビティの向上
インタラクティブ(=お客様との双⽅向のやりとり)を、ツールや機能を活⽤し⾏うことができる。
また、参加者のエンゲージメントが⾼められる
6)セキュリティ確保
オンラインプラットフォームの利⽤により、安全な通信や情報管理を実現
7)持続可能性
物理的な移動や資材の使⽤を減少させることで、時代に合ったエコイベント運営が可能
8)ニーズ対応
オンラインとオフラインを組み合わせることで、様々な参加者のニーズに対応
9)新しい収益モデルの実現
オンライン広告、スポンサーシップ、有料コンテンツなど、新しい収益源の開拓を⽬指せる
イベントのDX化は、これらのメリットがありますが、成功のためには、ツールの選択や、組織変⾰、参加者とのコミュニケーションを前提に進めなくてはなりません。
イベントDXへの具体的なステップ
ステップ 1)
社内でDX 推進への共通認識を持つ
最初におこなうことはDX化における共通認識を持つこと。
業務のデジタル化により⽣産性や効率性は向上するものの、それまでの業務担当者からはDX化による業務変化についていけない場合も。
社員⼀⼈ひとりのスキルにあわせ、イベント運営業務全体を⾒直し、再編成をおこなうことが重要。
ステップ2)
データ収集・業務の効率化
イベント開催には、
①企画、②DM広告などの集客、③当⽇の運営と進⾏、④プログラムの実施、
のような業務があります。
まずは、どの業務をデジタル化できるのか検討するのと同時に、業務内容を洗い出します。
どんな顧客データを取得したいのか、どのような演出のイベントや配信にしたいのか、
などを洗い出しターゲット層を決定。
そのターゲット層にあわせたイベントコンテンツを検討する。
・DM広告などの集客について
年齢や性別などの顧客データをまとめ、メルマガの配信やそのほかの広告を出稿し集客を⾏う。
・申込・決済について
イベントの申込⽅法や決済もすべてオンラインに対応させる。
・イベント開催当⽇について
オンライン配信により会場に配置する⼈員を⼤幅に削減する。
リアルイベントならQRコードで⼊場受付ができるようにする。
・資料配布について
PDFで作成した資料データをホームページに設置。
興味を持った⼈がいつでもダウンロードできるようにする。
・アンケートについて
アンケートはメルマガ配信。迅速に回収して集計ができるようにする。
※オンライン配信の専⾨会社へサポートを依頼などし集計に備える
ステップ3)
顧客を育成する
顧客が興味や関⼼を持ったときから⾏動に移すまでの状況に応じたアプローチができます。
商品の購⼊やサービスの利⽤後のアフターフォロー、新製品情報のアピールなど適切なタイミングで接点を持つことができるよようになります。
顧客へのメルマガの配信やアプリのプッシュ機能、SNSによる新商品の紹介などアプローチも⾃動でおこなえるため、営業活動における負担軽減となるでしょう。
出典: Video Matching, イベントDX とは?実現できることや進め⽅について解説,2023.0227,
https://video-matching.com/know-how/eventdx/
初期費用無料の「イベント管理システム」2選
イベント管理システムは、イベントや会議、展⽰会、セミナーなどの企画、準備、実施、評価を効率化し、運営を⽀援するためのシステムです。
① Peatix(ピーティックス)
有志のイベントから⼤型フェスまで様々なシーンで活⽤できる、イベント・コミュニティプラットフォームです。
エンターテインメントやライフスタイル、ビジネスなど、対⾯・オンライン両⽅含め、常時1 万5000 以上のイベントが掲載されています。
2011 年にサービスを開始し、⽇本をはじめ、アメリカ、シンガポール、マレーシア、⾹港など27カ国で多くのユーザーに⽀持されています。
② Eventory(イベントリー)
出典(表): LISKUL, 【2023 年最新版】イベント管理システムおすすめ6 選を厳選⽐較!. 最終更新⽇:2023.7.18,
https://video-matching.com/know-how/eventdx/
マーケティング実施調査でSNS施策が上位にランクイン
マーケティングオートメーションツールを開発・提供するSATORI(株)は、マーケティングやセールス部⾨に従事する企業関係者619⼈を対象に「マーケティング実態調査」を実施。
「現在注⼒するマーケティング施策」に対する回答には、toB企業では「⾃社セミナーや展⽰会」(32.7%)など新規顧客獲得のための施策が上位に。
toC企業では⽣活者と直接コミュニケーションがとれるSNS施策が上位にとなった。
注⼒するマーケティング施策については、上位3つまで聞いたところ、「⾃社セミナーや展⽰会(リアル・ウェビナー)」(27.8%)、「販促プロモーション」(27.1%)、「キャンペーンの企画・実施」(25.0%)が上位に挙がっている。
toBとtoCの業態で回答を分けたところ、toBでは「⾃社セミナーや展⽰会(リアル・ウェビナー)」(32.7%)、「販促プロモーション」(25.8%)、「キャンペーンの企画・実施」(23.4%)と上位の顔ぶれは変わらなかったものの⾃社セミナーや展⽰会の割合が⾼い結果に。
出典: 樋⼝陽⼦,EVENTMARKETING,注⼒するマーケティング施策 toB 企業で「⾃社セミナーや展⽰会」32.7%2022.04.07,
https://www.event-marketing.co.jp/SATORI_+questionnaire_202204
イベントDXは、ただ1回きりのイベント開催という単独の考えではなく、お客様と⻑く繋がることができる⼿段の⼊⼝と考え、そこから、⾃社の魅⼒を発信し、関係性を深めることが⼤切です。
まとめ
実施調査で「⾃社セミナー」や「展⽰会」の割合が⾼い結果となったことからも、マーケティングのトレンドは、イベントだと考えられます。
その中でも、「リアルセミナーとオンラインのウェビナー」を融合させた新しい形に注⽬があつまります。
そこでで得られるデータやノウハウを次に⽣かすことができるこの施策こそが、お客様とのエンゲージメントを⾼め、未来の鍵をにぎっているとも⾔えるでしょう。
さらに、最近では、地⽅創⽣のためメタバースを活⽤した⾃治体なども続々出てきました。
地⽅⾃治体が⼿塚プロダクションや吉本興業などの企業とタッグを組み、国内外どこからでも参加できるメタバース上で地⽅観光の魅⼒を発信したり、特産品などの販売への活⽤を⾒出しています。
現実に近い環境で活動ができるこのメタバース。
新しいイベント企画のひとつとして、この世界にも注⽬すべきでしょう。
イベント業務のDX化は、⼀朝⼀⼣にできるものではありません。
業務⼀つ⼀つをデジタルという⼿を借り、少しずつできるところから移⾏し、効率化の⼿助けとしてうまく使うことを、おすすめします。