第35回 経営者コラム|トレンドについて考える03. キャッシュレス&ポイ活の関係性。地⽅でも普及?公共交通「タッチ乗⾞」?海外事情と先達からの学びと⽣かし。

⽇本におけるキャッシュレス決済の現状は、国際的な視点から⾒ると⼤きな遅れをとっています。
若者たちは「スマホ⼀つ持ってコンビニへ!」など、現⾦を持ち歩かないスタイルが定着しつつある⼀⽅で、⾼齢者は、依然として現⾦払いが多いという肌感です。
このような世代間のデジタル決済に対する温度差は、事業者がキャッシュレスを導⼊する際の重要な課題となっています。
そんな中、政府はデジタル化を推進するための様々な施策を展開しており、キャッシュレスもその⼀つとなっています。
事業者はそれを上⼿く取り⼊れながら、多様な顧客層のニーズに応じたサービスを提供することが求められています。
本コラムでは、事業者が直⾯するキャッシュレス導⼊の利点と課題、そして、政府の⽀援策をどう活かすかという点にスポットを当て、考察します。
目次
「キャッシュレス」と紐づけられた “ポイント“
いわゆる「ポイ活」の意義とは?
「キャッシュレス決済」とは、現⾦を使⽤せず⾏う⽀払い⽅法のことを指し、「クレジットカード・デビットカード・スマートフォンなど」を利⽤した決済⽅法です。
特に、タッチ決済は、スマートフォンやカードを決済端末に近づけるだけで⽀払いが完了するため、⾮常に便利です。
例えば、Apple PayやGoogle Payがこれに当たり、スーパーやコンビニなど⽇常的な⽀払いや、公共交通機関の利⽤になど幅広く使⽤されています。
本コラム内で話を進める内容の予備知識として、簡単に⼀覧にまとめます。
※ 政府による援助施策は、後ほどさらに詳しく解説します。
「ポイ活」は、「ポイント活動」の略で、キャッシュレス決済を利⽤することで貯まるポイントを使い、⽇常⽣活のコストを賢く節約することができます。
この活動は、消費者にキャッシュレス決済の利⽤を促す⼀環として誕⽣し、多くの⼈が活⽤しています。特に、クレジットカードや電⼦マネー、モバイル決済アプリで⽀払いを⾏う際にポイントが貯まり、これらのポイントを商品購⼊やサービス利⽤に再利⽤することができます。
参考:経済産業省,キャッシュレス,20250315 アクセス,
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/index.html
結果的に、「ポイ活」は消費者がキャッシュレス決済を選ぶ⼤きな動機の⼀つとなっており、キャッシュレス社会への移⾏を加速させる効果があるのです。
さらに、事業者にとっては顧客のロイヤリティを⾼める⼿段として機能していると⾔っても過⾔ではありません。
具体例を挙げると「頻繁な利⽤顧客向けの特別割引」として、ポイントによる特別割引を⾏うなどすることでリピート購⼊が期待できたり、「誕⽣⽇特典」として、顧客の誕⽣⽇にポイント倍増などをおこなうことで、ロイヤリティを⾼めることができます。
出典:⽇テレNEWS, 今春各社競い合うポイント経済圏 上⼿に“ポイ活”をするために意識しておくことは?,2024.0405,
https://news.ntv.co.jp/category/life/15df249b0cf84a5ca31821bbe51f5be1
インターネット銀⾏のPayPay 銀⾏は2025 年後半にも、普通預⾦の利息をスマートフォンの決済サービス「PayPay ポイント」で付与する取り組みを始めます。
利息をポイントで⽀払う取り組みは同⾏が初めて、との記事。
銀⾏も「ポイ活動」を利⽤する時代となりました。
出典:⽇本経済新聞, PayPay 銀⾏の利息、ポイント付与も可能経済圏拡⼤へ,2025 年3 ⽉15 ⽇17:30,
https://www.nikkei.com/topics/20030617
⾝近!「公共交通のタッチ乗⾞」に⾒るキャッシュレス例。
公共交通機関を例に「キャッシュレス事例」を⾒てみましょう。
福岡県では、⻄⽇本鉄道が「完全キャッシュレスバス」の実証運⾏を⾏っており、特定のバス路線で交通系ICカードやクレジットカードのタッチ決済が可能になっています。
これにより、利⽤者はよりスムーズに公共交通機関を利⽤できるようになります。
参考画像:Nishitetsu,完全キャッシュレスバス実証運⾏,20250313,
https://www.nishitetsu.jp/bus/norikata/cashlessbus/
また、肥薩おれんじ鉄道では、PayPayを⽤いたスマホ決済が⼀部の駅での決済が、数年前と早い段階から利⽤可能となっています。
参考画像:肥薩オレンジ鉄道,スマホ決済サービス「PayPay の導⼊について,20250313,
https://www.hs-orange.com/page326.html
これらの取り組みは、現⾦を持ち歩かなくても移動ができる便利さを提供し、地⽅都市における公共交通の利⽤促進に寄与し、海外からの旅⾏客の利⽤のしやすさにも寄与しています。
政府が進める「キャッシュレス社会に向けた施策」とは?
具体的にどんなものか?
政府が進めるキャッシュレス社会に向けた施策例を⼀部ご紹介します。
1. ポイント報酬プログラムの推進
キャッシュレス決済を利⽤する消費者と店舗にポイント報酬を提供することで、普及を促進しています。
このプログラムは、消費者がデジタル決済を選択することにより得られる利益(お得感)を通じて、キャッシュレス決済の魅⼒を⾼めています。
2. キャッシュレス決済⽐率の⽬標設定
2025年までにキャッシュレス決済⽐率を40%にするという⽬標を設定し、定期的に進捗状況を公表しています。
この⽬標は、国内でのキャッシュレス決済の普及を加速するための政府の公約を⽰しており、具体的な数値⽬標によって関連業界の取り組みを促しています。
「関連業界」にあたるのは、銀⾏やクレジットカード会社、電⼦決済サービスを提供する企業、スーパーマーケット、レストラン、オンラインショップなどの⼩売業者、さらに、決済システムやセキュリティ技術を開発する企業などが含まれます。
これらの業界は、キャッシュレス決済の導⼊と拡⼤を推進し、消費者に広く受け⼊れられるよう取り組んでいます。
3. デジタル給与⽀払いシステムの導⼊
政府は企業が従業員に対して直接スマートフォン決済アプリを通じ給与を⽀払うシステムを推進しています。
このシステム導⼊により伝統的な給与⽀払い⽅法をデジタル化し、効率化を図ることが可能となります。
これは労働市場におけるデジタル化の進展を⽰す⼀例です。
4. 消費者⾏動の変化への適応
キャッシュレス決済の選択肢が増えることで消費者の購買⾏動が変化し、より多くの店舗やサービスでデジタル決済が受け⼊れられるようになります。
政府はこれを通じて、消費者の便利さを向上させると同時に、キャッシュレス社会への移⾏を促進しています。
5. 新しい技術採⽤に対する⾦銭的な報酬や税制上の優遇
政府はキャッシュレス決済を利⽤することでショッピングポイントが付与されるなど、⾦銭的メリットや報酬を提供しています。
これにより、消費者にキャッシュレスの利⽤を促し、同時に経済活動を活性化させる狙いがあります。
キャッシュレスに向けたこれらの施策は、消費者だけではなく事業者にも直接的な⾦銭メリットがあるのです。
キャッシュレスが進んでいる海外から
事業者が取り⼊れるべき事例を⾒出す!
キャッシュレス決済が⾮常に進んでいる国々としては、
スウェーデン、カナダ、イギリスが挙げられます。特にスウェーデンでは、
2025年までに完全にキャッシュレス社会になることを⽬指しています。
取り⼊れやすい事例 01)
⽼若男⼥に使いやすいキャッシュレス決済の提案
韓国では⾼齢者を含む全市⺠がデジタル決済システムを利⽤しやすい環境が
整っています。政府はビジネスがキャッシュレス化を進めることを奨励し、
取引コストの削減を⽀援しています。
取り⼊れやすい事例 02)
海外旅⾏客も利⽤できるキャッシュレスシステムを利⽤する
オーストラリアでは、Apple Pay、Google Pay、Samsung Pay、AliPayなど、
四⼤デジタルウォレットシステムが広く利⽤されています。
2030年までに完全なキャッシュレス社会になることが予想されています
「キャッシュレス向きの事業」と「そうでない事業」
キャッシュレス決済は多くの業界で便利さを提供していますが、すべての業種で効果的とは限りません。
⚫︎キャッシュレス向きの業種
1. ⼩売業
⽀払い処理の迅速化が可能で、顧客満⾜度と売上が向上します
2. 公共交通
スムーズな乗⾞券処理により利便性が向上し、運営コストの削減に貢献します
3. 飲⾷業
⽀払いの迅速化で顧客回転率が改善し、リピーター増加が⾒込まれます。
✖️キャッシュレスにはあまり向いていない業種
1. 直売所などの少額取引業
⼩額取引が多い場合は⼿数料が経営に影響します。
また、直売所などでは現⾦を好む⾼齢顧客も多いことにより向いていないと⾔えます。
2. 古物商などの価格が曖昧な業種
商品価値が交渉により決まるためキャッシュレス導⼊による価格交渉の柔軟性低下となると考えられます。
3. 地域密着型のサービス業
⼩規模事業者にとってはコストが売上に⾒合わず、キャッシュレスへの移⾏により価格に上乗せをせざるを得ない場合も。
その場合は、顧客離れを招く可能性もあります。
キャッシュレス向きの業種であっても、⾼齢者の利⽤が多い場合は、取引⽅法が分からない場合や説明が必要な場⾯も発⽣し、デメリットがある場合もあります。
客層によっては、キャッシュレス決済の導⼊が必ずしもメリットになるとは限らず、業界の特性や顧客層を考慮した戦略が求められます。
まとめ
キャッシュレスを導⼊すると、デジタルデータの活⽤により顧客の購買傾向を分析しやすくなるため、マーケティング戦略の精度も向上するというメリットがあります。
消費者にとっても、決済のスピードが格段に向上し、現⾦を携帯する必要がなくなるため、安全性も⾼まり、本⽂でも述べたポイントサービスなどデジタル決済特有の報酬が消費者にも、事業者にも提供されることも多く、消費の促進にも繋がります。
しかし、デメリットとして、初期投資として端末の設置やシステムの整備が、⼩規模事業者にとっては負担となる場合もあります。
さらに、⾼齢者が多い業種には不向きだという点も念頭に、導⼊を検討すべきです。
⽇本政府による、キャッシュレス社会の実現に向けての施策と環境を整えるための⽀援をうまく利⽤し、各事業に⾒合った導⼊を考えていきましょう。
マイナンバーカードが保険証代わりとなり、お薬⼿帳が紐付けされる時代。
また、マイナンバーカードを運転免許証として利⽤できる運⽤が開始され、免許更新や住所変更などの⼿続きが簡素化されるなど、⾏政サービスの利便性向上が期待されます。
このように、⽇本国内でのデジタル移⾏の波は、静かに進んでいるのです。