第16回経営者コラム|要注意!SNS担当者が知っておくべき「著作権」と「著作権侵害」
「知らなかった」では済まされません!!
意図せずだとしても、⾃社のSNS発信担当者が著作権を侵害してしまって損害賠償の請求に発展した場合、
会社⾃体の信⽤問題になりかねないのです。
アメリカでは2023年の年末でミッキーマウスの著作権が終了すると話題になっています。
しかし、ご⽤⼼ください。
ここで⾔うミッキーマウスの著作が切れるというのは全てのミッキーマウスではなく、
初めて映画に登場した「オリジナルのミッキーマウス」の著作権であり、
そのほかの映画に登場しているミッキーマウスの著作権が切れるわけではないのです。
また、著作権切れの話題は⽶国法の話で、⽇本の著作権法の話は別物だそうです。
このように、著作権は、その内容や期間が複雑なものもあり、
把握しておく必要があるものの、パーフェクトに学習することは難しい状態です。
そこで今回コラムは、⾃社事業のSNS発信担当者にきちんと知っていてほしい、
「SNS発信時、まず初めに知っておくべき著作権と著作権侵害」について、
分かりやすい事例をご紹介し、投稿時に気を配るべき基本をご紹介していきます。
目次
具体的には、きっと分かっていない。
著作権とその侵害とは?
『総務省による著作権の記述では、「知的財産権のひとつで、著作物に対する著作者の権利のこと。たとえば、
⾃分の作った画像や撮った写真などを勝⼿に公開されることを拒否できます。」』と、表現されています。
出典: 総務省 安⼼してインターネットを使うために国⺠のためのサイバーセキュリティサイト,
⽤語辞典(た⾏),2023.07.14 アクセス,
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/glossary/glossary_04.html#著作権(ちょさくけん)
『また、藤井弁護⼠による分かりやすい著作権の解説によると、
「⼈が創作した、世の中に存在する様々なオリジナルの表現」が著作物であり、
それらを利⽤する権利が著作権であり、その権利を持つのはそれを⽣み出した⼈
である著作者である、ということです。そのため、このような誰が創作した著作物を、
その著作者の許可なしに勝⼿に利⽤してしまうことが、昨今問題となっている
著作権の侵害となるのです。』としています。
出典:藤井寿弁護⼠・公認会計⼠,弁護⼠費⽤保険の教科書 ,SNS でのトラブル画像やアイコンの著作権ってどうなって
るの?,2023,07,14 アクセス,https://bengoshihoken-mikata.jp/archives/3904
———————————————————————————-
総務省の記述は、「⾃分が著作者である場合」の記述であり、
藤井弁護⼠の解説は、「他者の著作に対して」のものです。
どちらにしても、オリジナルとして創造したものを本⼈の許可なしに利⽤し、
その利⽤物をSNSに発信した場合は、著作権の侵害になると⾔うものです。
———————————————————————————-
著作権は、「創作物」や「知的財産」に対する法的な保護のことを指しています。
「創作物」は、⼈の創造と努⼒によって⽣み出された作品や表現のことを指し、
⽂学、⾳楽、映画、美術、写真、演劇、ダンス、デザイン、ソフトウェア、発明など、多岐にわたります。
こららは、独⾃のアイデア、概念、表現⽅法、情報の組み合わせなどで
著作者の創造性や個性によって⽣み出された作品とも⾔えるでしょう。
⼀⽅、「知的財産」は、知的な創造性や知識に対する法的な保護を指します。
創作物、発明、ブランド、商標、特許、意匠=デザインなど、知的な成果・権利を含みます。
そして、その所有者に対し、ある⼀定の独占期間を与えて、
他⼈が不正に使⽤したり複製したりすることを制限するもので、
創作者や発明家が公平な取引や法的な保護を受けることを⽬的ともしたものです。
もし著作権を侵害してしまったら?
法的にはどうなるのか?
無断利⽤により著作権を侵害してしまった場合、法律上の罰則はどうなっているのでしょうか?
著作権侵害は、著作権者が訴えない限り、罰せられません。
ただし、例えば、著作者が亡くなった後、勝⼿に著作物に⼿を加えたり、
違う著作権者の名前が表⽰された複製を配布するなど、悪質と認められるものは訴えられる可能性があります。
刑法上罰則:
・10年以下の懲役⼜は1000万円以下の罰⾦
・ 5年以下の懲役⼜は500万円以下の罰⾦
・法⼈の著作権等侵害の場合は3億円以下の罰⾦
出典: コンプライアンス向上委員会ドットコム, 編集部,
2023,07,14 アクセス, https://complaboard.com/legal/sns への転載はどこまでならok?著作権侵害にならな/
刑法上の罰則があることで怖がらせてしまいますが、これは悪質だと判断された極端な例です。
著作権を侵害させないための抑⽌⼒になっていると⾔えます。
SNSの投稿などでは、このような悪質例に触れることはないと考えられますが、
罰則を知っておくことで、著作権侵害は法に触れることなのだと意識していただきたいと思います。
SNS発信の際に気を付けるべき
著作権に違反しないための具体例
では、実際、SNS担当者としてコンテンツを投稿する際、考慮すべき著作権事例を挙げてみましょう。
1. 写真やイラストの使⽤する場合
写真やイラストは、作成者によって著作権が保護されています。
これらの画像をSNSに投稿する際は、使⽤許可を得るかフリー素材(著作権フリーなど)の中から選ぶようにしましょう。
2. 引⽤や転載を⾏う場合
⽂章や記事を引⽤または転載する場合、原則として著作権者から許可を得る必要がありますが、⼀部引⽤は許される場合もあります。
その許容範囲はケースバイケースで判断され、⾮常に曖昧です。
もし、他⼈のコンテンツを引⽤する場合は、「引⽤、出典、参考」などを明記し、著作権者の権利を侵害しないように注意が必要です。
3. ⾳楽と動画を使⽤する場合
⾳楽や映像作品をBGMや投稿の⼀部として使⽤する際には、使⽤許可を得るかフリー素材を使⽤するようにしましょう。
4. ユーザー=フォロワーが⽣み出したコンテンツを共有する場合
⾃社フォロワーなどが投稿したコンテンツを共有する際には、その⼈から許可を得ることが著作権に触れないための有効⼿段と⾔えるでしょう。
コンテンツは、フォロワーによる写真、動画、レビュー、コメントなどが含まれます。(特定条件下で再利⽤が許可されている場合があります。ライセンス内容を確認しましょう)
やってしまいがちな著作権侵害例「画像の権利」について
▶︎著名⼈がSNSで⾃社製品紹介している画像を使⽤しない
著名⼈が⾃社製品紹介していた場合、うれしいですよね。
でも、その写真を使うのはちょっと待った!
たとえその画像が、プライベートシーンであり、⾃社製品を紹介しているとしても、所属事務所などの承諾が必要です。
それは「肖像権」「著作権」を侵害する恐れがあり、⾃社と正式契約を交わしていない著名⼈の画像は使えないと思ってください。
▶︎たまたま写り込んでしまった⼈はもちろん、⾃社社員やその家族であってもSNSに画像掲載したい場合は許可を得るべき
会社や事業所のイベントなどで写真を撮ったら、知らない⼈の顔がばっちり写り込んでしまった。
でも、この写真をSNSにアップしたい!
そんな時は、ぼかしをかけるなどし、個⼈を特定できないように加⼯しましょう。
また、社員やその家族であっても本⼈の同意がなければ投稿はできませんので、⼗分気をつけましょう。
⾃社投稿のオリジナル画像などを不正利⽤させないために!!
⾃社で撮影したオリジナル画像など、コンテンツにも著作権があります。
公開する前に、⾃社のコンテンツが他⼈によって不正使⽤されることを防ぐために、必要に応じて著作権表⽰やライセンスを検討しましょう。
具体的な⼿段は以下のようなものがあります。
1. 著作権の明⽰を⾏う
⾃社コンテンツのフッターやウェブサイトの利⽤規約に、著作権に関する記述を含めることで、他者による不正利⽤を抑⽌できます。
出典(左画像):deco8.net,【保存版】もう迷わない!フッターに表記するコピーライトの正しい書き⽅とタグ
【HTML5・PHP・JavaScript】,2022,0724 更新,https://deco8.net/footer-copyright-html-tag/
2. ウォーターマークを使⽤する
⾃社のコンテンツに「ウォーターマーク=透かし」を⼊れることで、誰かが不正にコンテンツを使⽤することを抑制することにつながります。
画像や動画に透明なロゴやテキストを表⽰することで、コンテンツの所有権を主張するという⼿段です。
出典(画像):APPBANK,画像の〝透かし〟を⼀瞬で消すAI ツール、悪⽤を防ぐには?,2023/01/27/22:39,
https://www.appbank.net/2023/01/27/technology/2386298.php
まとめ
法的な問題や罰則など、ドキッとする項⽬もありましたが、⾃社らしい「オリジナルの投稿」を⾏う限りめったに著作権を侵害することはないでしょう。
もし、オリジナルのものが⽤意できない場合は「版権フリー」の画像やBGMを利⽤したり、画像編集アプリをうまく利⽤し、個⼈の顔画像にぼかしをかけるなどの⼯夫をしましょう。
⾃社のSNS担当者として、コンテンツを発信すると⾔うことは、⾃社の情報発信の顔になると⾔うことです。
その投稿で⼤丈夫?と⼀呼吸考え、可能ならば、複数⼈で確認し合うなどした上でSNSへのアップを⾏うよう⼼掛けてください。